自発的隷属の第一の原因は、習慣である。だらかこそ手に負えないじゃじゃ馬も、はじめは轡を噛んでいても、そのうちにその轡を楽しむようになる。少し前までは鞍をのせられたら暴れていたのに、いまや馬具で身を飾り




この小著の眼目は、圧政が支配者(しばしばただ一人の者)自身のもつ力によってではなく、むしろ支配に自ら服する者たちの加担によって支えられると論じた点にある=西谷修・解説。モンテーニュの盟友エディエンヌ・ド・ラ・ボエシ『自発的隷属論』(ちくま学芸文庫)震えながら読む。警世の一冊である
自発的隷属の第一の原因は、習慣である。だらかこそ手に負えないじゃじゃ馬も、はじめは轡を噛んでいても、そのうちにその轡を楽しむようになる。少し前までは鞍をのせられたら暴れていたのに、いまや馬具で身を飾り、鎧をかぶってたいそう得意げで、偉そうにしているのだ。したがって、いま一度、正しく行動することを学ぼう。天に目を向けよう。われらの幸福のために、徳への愛そのもののために、もっとはっきり言えば、われわれの行動のたしかな証人であり、われわれの過ちの公正な審判である全能なる神への愛と栄誉のために。




商品の説明

内容紹介

圧制は、支配される側の自発的な隷従によって永続する――
支配・被支配構造の本質を喝破した古典的名著。20世紀の代表的な関連論考を併録。

出版社からのコメント

いつの世にも圧政がはびこり、人々が隷従に甘んじているのはなぜか――
16世紀フランスの若き俊秀による稀有の考察は、支配・被支配の社会関係にひそむ
本質的構造を容赦なく喝破して世を震撼させた。
圧政は、支配者のおこぼれに与るとりまき連中が支え、民衆の自発的な隷従によって
完成する、という鮮やかな分析は、近・現代の思想にも大きな影響を与えている。
シモーヌ・ヴェイユが本作と重ねて20 世紀の全体主義について論じた小論と、政治人
類学者ピエール・クラストルが本作をベースに「国家に抗する社会」としての未開
社会を分析した論考を併録する。
解説 西谷 修

内容(「BOOK」データベースより)

なぜみずから屈し圧政を支えるのか。支配・被支配構造の本質を喝破した古典的名著。シモーヌ・ヴェイユが本作と重ねて20世紀の全体主義について論じた小論と、政治人類学者ピエール・クラストルが本作をベースに「国家に抗する社会」としての未開社会を分析した論考を併録する。

著者について

エティエンヌ・ド・ラ・ボエシ
1530‐63年。フランスの小都サルラ生まれ。オルレアン大学で法学とともに人文学への造詣を深める。54年にボルドー高等法院に評定官として着任、のちに同僚となるモンテーニュと友情を結ぶ。相次ぐ宗教争乱に対して事態収拾に奔走したが、63年病に倒れモンテーニュに看取られながら死去。『自発的隷従論』は16歳か18歳のときに書き上げたとされる。
西谷 修
東京外国語大学教授。著書に『世界史の臨界』『不死のワンダーランド』『戦争論』『理性の探究』などが、訳書にブランショ『明かしえぬ共同体』、レヴィナス『実存から実存者へ』などがある。
山上浩嗣
大阪大学准教授。著書Pascal et la vie terrestre(『パスカルと地上の生』)などが、訳書に『ブローデル歴史集成』I~III(共訳)などがある。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ド・ラ・ボエシ,エティエンヌ
1530‐63年。フランスの小都サルラ生まれ。早くにオルレアン大学に進学、法学とともに人文学への造詣を深める。54年にボルドー高等法院に評定官として着任、のちに同僚となるモンテーニュと友情を結ぶ。相次ぐ宗教争乱に対して、宮廷の宥和政策を支持して事態収拾に奔走したが、63年病に倒れモンテーニュに看取られながら世を去った 

西谷/修
1950年愛知県生まれ。東京外国語大学教授 

山上/浩嗣
1966年大阪府生まれ。大阪大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)