[インタビュー]「関東大震災朝鮮人虐殺否定論、かつては右翼も想像できなかった」

[インタビュー]「関東大震災朝鮮人虐殺否定論、かつては右翼も想像できなかった」

「(右派の)石原慎太郎東京都知事ですら、関東大震災朝鮮人虐殺を否定するという発想はなかった。少なくとも1990年代までは、右翼も虐殺を否定しようとする人はいなかった」
歴史修正主義が1990年代から日本の主流となり、日本の暗い歴史はなかったことにしてもいいという空気が出てきた。理屈に合わなくても大きな声で言えば通じるようになった」と悔しさをにじませた。加藤氏は『トリック』を出す前にすでに「朝鮮人虐殺否定論」を論破するインターネットサイトを運営していたが、「本の持つ力がある。ホームページだけでは足りないと感じた」と語る。 実際、虐殺否定論は現実政治にまで浸透した。小池百合子東京都知事は3年連続で東京都墨田区横網町公園で開かれる朝鮮人虐殺追悼行事に追悼文を送らないと明らかにした。小池知事は追悼文を送ることを拒否し、「東京で起きた大きな災害後、さまざまな事情で犠牲になられた方々に対し哀悼の意を表する」とし、朝鮮人を対象に別途の追悼文を送らないとした。しかし加藤氏は「『多くの事情で亡くなった方』は虐殺された人しかいない。だが小池知事は殺されたという表現すら使わなかった」とし、「虐殺否定論を信じたり(まともな)説だと考えられると思っているという証拠ではないか」と批判した。