第57回 政権交代で原発ゼロに舵を切った台湾・現地レポート


いまにしのりゆき(ジャーナリスト)

陳 曼麗 氏(台湾立法委員・民進党、黃 國昌 氏(台湾立法委員・時代力量)、郭 慶霖 氏(北海岸反核行動聯盟代表)

■メインテーマ:政権交代原発ゼロに舵を切った台湾・現地レポート

今回は、台湾の原発事情を特集します。台湾では2025年までに原発をゼロにするという電気事業法改正案が、今年1月、日本の国会にあたる立法院で可決されました。今後、脱原発に向かって、自然エネルギーなどへの転換が進んでいくとされています。

そこでジャーナリストの今西憲之が、実際に台湾に行き、立法委員(国会議員)をはじめ様々な方のお話しをうかがって参りました。今回は、そんな現地でのインタビューの模様を中心に、脱原発に向けて国家として舵を切った、台湾の原発事情に迫ってみようと思います。

お話しを伺ったのは、次のお三方です。

・陳 曼麗 氏(台湾立法委員・民進党
・黃 國昌 氏(台湾立法委員・時代力量)
・郭 慶霖 氏(北海岸反核行動聯盟代表)

戒厳令下では原発が作られていることすら国民に知らされなかったとか、人の生活地域のすぐそばにあたり前に立っている原発の現状など、台湾の原発の驚くべき事実が、今西憲之のレポートにより明らかになっていきます。



■Light-Upジャーナル:

核のゴミ最終処分場は香川県直島町に?
計画ありきで進む「最適」の基準とは?
川上道大氏(日本タイムズ)にインタビューします。
http://nippon-times.net/




第057回
核のゴミ最終処分場は香川県直島町に? 計画ありきで進む「最適」の基準とは?

電話インタビュー:川上道大氏(日本タイムズ)
聞き手:今西憲之


今西憲之:
今日は、『日本タイムズ』発行人の川上道大さんにお話を伺って参りました。
川上さんは平成16年より瀬戸内海、香川県岡山県の間にある直島という島に、ひょっとしたら核のゴミの最終処分場、使用済み核燃料棒の最終処分場が建設されるのではないかということで、ずっと追及をされてきました。
四国 香川県ご出身の川上さんはずーっと高松市内にお住まいで、この地域に根ざした報道を続けてこられました。
その中で、川上さんだけにしか話をしないというディープなネタ元から、核のゴミの最終処分場の話を川上さんは聞かされ、絶対に報道しなければならないということで、これまで追ってこられました。

川上道大さん:
高レベル核燃料最終処分場、この処分場が香川県直島町に捨てられると。
直島町の50メートルほど離れた所に寺島という石の山があるんですけども、その寺島の真下に核燃料廃棄物最終処分場が決まっておるということを聞いたわけですよ。
それもいい加減な方じゃないんですよ。
これは、もう直島の島の漁業組合と言いますか、網元のかねもとともいちさんという方から命がけで私に遺言的に、
「川上さん、この瀬戸内海に核燃料廃棄物最終処分場が決まるということは避けなければいかん」と「これについては協力して欲しい」ということを遺言として受け取ったわけですよ。
そこから(平成16年から)始めたわけです。

今西:
なるほど。今、出ました直島・寺島というのは、今からおおよそ20年ほど前、いわゆる豊島産廃事件というのがありました。
豊島というのは、これやはり香川県の小豆島の近くに浮かぶ島でして、そこに大量の産業廃棄物が捨てられ、とんでもない事になったというような大きな事件がありました。
そこから比較的に近い所なんですね。

川上さん:
そういう事です。

今西:
そして、その豊島の産業廃棄物も結局は豊島の中では処分せず、今、川上さんからお話が出た直島の方で処分されることになりましたねえ。

川上さん:
はい、そうです。

今西:
もともと直島っていう所には、元々どういうような設備があったんですかね?

川上さん:
三菱マテリアルっていう会社が、銅の製錬っていう所で歴史的に製錬所があったという所です。

今西:
なるほど。そこといわゆる核のゴミの最終処分場というのはどう繋がるんでしょうか?

川上さん:
豊島に違法投棄された50万トンからのゴミを、これ中坊公平さんという弁護士が中に入って、住民との打ち合わせの中で合意したわけですよ。
そのゴミ処理は豊島の中ですると。
それが一旦決まっておったものを香川県の知事 真鍋武紀知事が誕生するわけですけれども。
その時に、一旦決まっておるゴミを直島に移すという、わざわざ移すという。
なぜ移さなければいけないかという所から始めると思うんですけれども。
分かり易く言えば、真鍋武紀知事が最終処分場は直島で決めるという、一つの使命というか役割をもって知事に出てきたと、こう私は理解しておるんですけどもね。

今西:
それで、いわゆる核のゴミの最終処分場というのをこれ瀬戸内海に持ってきて、これ正直大丈夫なのか。
反対側に岡山県もあります。
人口たくさんいます。
そんな中で、あの狭い瀬戸内海に核のゴミの最終処分場を持ってきて大丈夫なのかなあと。

川上さん:
大丈夫という言葉は、もう今の国の処分場についての科学的有望地を決めていくという大手新聞をずっと読んで頂いたたら分かりますけども、もうここに結局ネックを入れてるんです。

今西:
なるほどなるほど。
要するに、川上さんが指摘される直島だとか寺島を視野に入れたような基準というか法整備をしてると。

川上さん:
そういう事です。
もう基地を分析して頂いたら、もうここしかありません。
段差もないとことか、かさがないとことかいうことですね。
それから、港に近い所とか大きい船が着く所とか、いうような所を新聞記事をずーっと分析してたら、ここへだんだん発表したいというとこだけでも、日本タイムズが平成16年に書いてるもんですから、
発表は既に出来ない状態になってるんですよね。
だから、焦ってますよ、今、はっきり言ったらね。

今西:
川上さん、実際、平成16年から取材を続けてこられて、やはりそこには、よく原子力村にはいろんな利権が絡んでると言われます。
いろんな大きな業者が絡み、不透明な金のやり取りというのが利権が生じるというような話がありますけれども、これを実際取材されてて、そういう利権というのをお感じになられることっていうのはありますでしょうか?

川上さん:
それは、もろですよ。
ですから、あくまでも、これはもう行政区域は香川県なんです。
地形学的には、これは岡山県なんです。
もう岡山のすぐ電気も全部、中部電力の岡山の方から来てるわけですよ。

今西:
なるほど。岡山経済圏であると。

川上さん:
ええ。経済圏と同時にもう校区、電気も校区も岡山の方へ通うわけですね。
しかし、行政区域は香川県なんですよ。
これは、昔、お殿様の時に県を線引きする時に、樽を流したら、ちょうど直島の向こうを通って、岡山の方へ流れて向こうに行ったもんやから、香川県がそれを全部、行政区域が香川県になったわけですね。
そういうようなのが歴史的にあるもんやから、ちょうどやり易いんですよ。
揉めませんわね。行政区域が香川県ですから。
地域は、もうもろに岡山県ですから。
ですから、この岡山の政治家と香川県の政治家がピタッと呼吸合わせたら、これ地元がどんだけ反対運動した所で手が届かんわけですよ。
辺野古と同じですよ。だから。
やると決まれば、もう行くでしょう。
だから、その辺りは私はもう黙って土壇場で国民の皆さんが分からん状態で、ある日突然、「もう決めた!」というような事ではなく、行くんならもう納得づくで、いろんな方にも理解させて。
理解できなくても「もうこれしかない」と「もうここしかないじゃないか!」という事も、日本人国民アホじゃないんやから。

今西:
そうですねえ。

川上さん:
だから、どんどん情報公開して、「いやー、もう仕方ないな」と「もうこれ以外にないな」という所で事が収まってくいう状態にせないかんでしょう。これは。

今西:
川上さんにいろいろお話を伺っていく中で、川上さんが長く手掛けておられます『日本タイムズ』、その前身は『四国タイムズ』という名称で新聞を発行してこられましたですけれども、自由なラジオと一緒で、川上さんの新聞にも大きなスポンサーはありません。
なぜかと言うと、自分達の思いをきちんと読者に伝える為には、あらゆる圧力から逃れたいという信念から、もう25年も『日本タイムズ』『四国タイムズ』を続けてこられました。
川上さんのやはりその信念を伺いますと、本当に自由なラジオLight Upも何とか頑張らんといかんなあという思いにかられました。