なぜNHKは政権による嘘と誤魔化しに加担するのか<永田浩三氏>

なぜNHKは政権による嘘と誤魔化しに加担するのか<永田浩三氏>

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集団的自衛権に関する関連のニュースを検証してみると、与党側の主張の時間が114分だったのに対し、反論側はわずか77秒と極端な差

日ロ交渉に関しても、岩田さんは「安倍首相のおかげで北方領土が戻ってくるのでは」というイメージを広げました。例えば昨年9月にウラジオストクで行われた日露首脳会談の際には、「クローズアップ現代+」に解説委員として登場し、「そこに居合わせた日本政府の関係者も『まるで日本への島の引き渡しを示唆しているように見えた』と話していました」などと解説しました。一方、日本は朝鮮半島の雪解けの蚊帳の外に置かれているにもかかわらず、岩田さんは、安倍総理が6カ国協議の「橋渡し役」を担っているなどと伝えています。

 こうした報道は、誤報というより虚報です。彼女は、真実を知っているにもかかわらず、それとは異なることを伝えています。その罪は軽くありません。彼女は「取材、報道をする上で最も重要視している事は何か」と尋ねられて、「国益にかなうこと」と語っていますが、それは違います。記者として最も重視すべきことは、国民の知る権利に奉仕することです。
 かつて評論家の加藤周一さんは、「メディアスクラム」の重要性を強調していました。現在は、弱い人に対して各社が集中して強引な取材を行うというような意味で使われていますが、本来は「圧力をかけてくる権力に対して、メディアがスクラムを組んで一緒に戦う」という意味です。加藤さんが例として挙げたのは、1970年代前半、ニクソン政権の副大統領を務めたスピロ・アグニューが、スキャンダルを追及するマスコミに牙を剥いてきたときに、全米の新聞社がスクラムを組んだことです。

 日本では今、沖縄の二紙や朝日・毎日、そして当の東京新聞は望月さんを孤立させてはならないという論陣を張ってはいますが、NHKをはじめ多くのメディアは音なしの構えです。