公文書改ざん問題声明(3/26)/立憲デモクラシーの会


公文書改ざん問題声明(3/26)

公文書改ざん問題についての見解
安倍政権は、違憲な安保法制の成立強行など、立憲民主主義への挑戦を繰り返してきた。 さらにこのたび発覚した虚偽答弁や公文書改ざんが示すのは、内閣が国会に対して説明責 任を負う議院内閣制の政治システムや、文書主義にもとづく近代官僚制などが安倍政権下 で根底から否定され、民主主義や法の支配の大前提が崩壊しつつある現実である。その結 果、日本がもはや近代国家として「根腐れ」の状態にまで追い込まれていることは明らか である。公務員である官僚は全体への奉仕者であり、公文書は民主主義の根幹を支える国 民共有の知的資源、かつ、現在及び将来の国民に対する説明責任を負うものであるから、 今回の事態は、いわば国民の財産に官僚が勝手に手をつけたという異常事態なのだ。
現段階では、安倍政権は一連の事態を財務省前理財局長と一部職員の「暴走」の結果であ るとの弁明を繰り返しており、財務大臣首相官邸の関与を否認している。しかし、仮に 政権中枢やその関係者からの政治的関与や圧力が介在したことが今後明らかになったとす れば、その政治責任はきわめて大きく、内閣総辞職は当然である。また仮に政治家の関与 が確証されなかったとしても、責任内閣制の原則に照らして、公文書の組織的改ざんとい う官僚制の自滅行為に対する首相や財務大臣監督責任は免れない。
今回、財務省において公文書が組織的に改ざんされ、政府は改ざんした文書を真正なもの と偽って国会へ提出した。しかも、国土交通省ばかりか首相官邸、そして独立の機関であ る会計検査院までもが事情を把握しながら、新聞報道や野党の追及にもかかわらず真相解 明に速やかに協力しなかったことが判明している。国会において虚偽答弁を繰り返してき たのは、財務官僚だけでなく首相や財務大臣も同じであり、国会を欺き、しかも改ざんを 極力隠蔽しようとする態度に終始したと言わざるを得ない。
これは、法の支配を制度的に担保する近代的官僚制の崩壊と、国民を代表する国権の最高 機関としての国会への冒涜に他ならない。公文書が事後的に恣意的に改ざんされ、虚偽文 書が国会に提出するようなことがまかり通るのであれば、国会が行政権の行使をチェック することは不可能となり、政府はいかなることでも行いうるようになってしまう。まさ に、立憲主義と議会制民主主義の否定である。安倍政権は昨年 10 月、疑惑を追及する有 権者の声を封じるようにして、解散総選挙を強行した。これまでも選挙で勝利し、国会で 多数を占めれば何でも許されるという傲慢な態度を取り、この 5 年間立憲民主主義を掘り 崩してきた。その行きつく果てが今回の事態である。
それゆえ、ことは前理財局長一人に責任を押し付けたり、検察による刑事責任の追及のみ に委ねたりして済む話ではない。問題の発端となった国有地売却の適切性も含めて、一連 の疑惑につき、全ての関係者の国会招致などにより、真相の解明と責任の追及がなされな ければならない。高級官僚の人事を政治家が行う内閣人事局の存在が、政治家と官僚との 関係をゆがめているとすれば、その制度改革も必要となる。権力者が法を超越するのか、 法が権力者を規制するのか、まさに瀬戸際である。「とかげの尻尾切り」に終わらせず、 腐敗の核心に迫らなければ、日本の立憲民主主義の回復はありえない。
2018年3月26日
立憲デモクラシーの会