近年の未発表草稿等の研究によれば、晩年のマルクスは、(資本主義社会が徹底されて旧来のものが解体されたその行きつく先で革命を目指すのではなく)伝統的共同体を守ってグローバル資本主義に抵抗する方向を考える


近年の未発表草稿等の研究によれば、晩年のマルクスは、(資本主義社会が徹底されて旧来のものが解体されたその行きつく先で革命を目指すのではなく)伝統的共同体を守ってグローバル資本主義に抵抗する方向を考えるようになっていた…という話を知って、かなり驚いている。マルクス共産党宣言において資本主義を批判しながらも、それが古い共同体を破壊しその桎梏から人間を解き放つことを高く評価した。だが晩期マルクスは、かつての近代化論を撤回し、むしろ前近代的共同体の生命力によって資本の力を封じ込めていく戦略に転換した(佐々木隆治『カール・マルクス』)最新の研究で発掘されつつあるマルクスの変革構想は、「マルクス主義」とは程遠く、場合によっては対立するものでさえある…そこから見えてくるのは、物質代謝の具体的論理のあくなき探求であり、エコロジー、共同体、ジェンダーをも包括する壮大な変革構想である(佐々木隆治『カール・マルクス』)「過去を振り返るのではなく未来に目を向けるのであれば、私たちが問い直さなければならないのは、失敗に終わった『マルクス主義』ではなく、マルクスその人の実像である。」