組み体操を「戦争に備えた軍事教練の一環」と見なすのは、論理の飛躍ではないと私は思い始めている。上位者の命令と周囲の期待感に後押しされ、怪我や死亡のリスクがある状況でも、従順に服従して規定の任務を遂行す



27年前に、組み体操事故で息子さんを亡くしたご遺族が、沈黙を破り取材に応じてくださった。80歳のお父さんの言葉「重傷事故のリスクがあると知りながら、子どもを危険にさらす必要があるのか」


「教職課程11月号」(協同出版)に組み体操など学校事故について寄稿。5段ピラミッドから落ちて足を骨折した中3男子は、受験生なのに卒業まで足に金具を装着。3段タワーから落ち開頭手術を受けた小6男児は教師に「勝手に落ちた」と言われ不登校に。たった一日の運動会のために人生変わってしまう

組み体操を「戦争に備えた軍事教練の一環」と見なすのは、論理の飛躍ではないと私は思い始めている。上位者の命令と周囲の期待感に後押しされ、怪我や死亡のリスクがある状況でも、従順に服従して規定の任務を遂行する戦闘員の育成という「目的」を設定してみれば、不可解な行動の合理性も説明がつく。

教師の命令と周囲の期待感が精神的圧力となり、本当は組み体操など怖くて逃げ出したいのに「やりたくない」と言えない子どもは、大勢いるのではないか。特に「周囲」に親や親戚が入っている場合は厳しい。他の学校行事はすべて児童の安全第一なのに、なぜ組み体操だけ、学徒兵のような人命軽視なのか。