日本学入門の授業で若い人びとは、日本には四季があるからすばらしい、と言います。大正時代の芳賀矢一の『国民性十論』に戻ってしまったようです。生態学者の説では日本は2季または6季です。中国の4季の季節観を



日本学入門の授業で若い人びとは、日本には四季があるからすばらしい、と言います。大正時代の芳賀矢一の『国民性十論』に戻ってしまったようです。生態学者の説では日本は2季または6季です。中国の4季の季節観を思想として受容し、人工的に「四季の文化」を洗練していったのが日本です。
1930,40年代に「日本的なもの」が論じられる中、国文学者・風巻景次郎は、古典文学の自然が、あくまで近畿文化であることを主張しました。情緒的な近畿文化に対して、知性的文化の可能性を信州に求めました。風巻は、日本人の不変の国民性を「風土」に求める議論に強い危機感を持っていました。
日本学入門の受講者は、日本語を特殊な言語と思い込んでいます。が、吉田智行氏・飛田隆文氏によれば、日本語の語順(主語・目的語・動詞)の言語は世界の言語の40~45%。否定・疑問の要素が末尾にくる言語は世界の言語の半数。主語の省略は英・仏・独語以外では一般的。英語が作った「常識」