内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男 (文春新書)


志垣民郎(著)、岸俊光(編)『内閣調査室秘録 戦後思想を動かした男』 (文春新書)を読了。内調については不勉強だったので色々驚いた。戦後直後、日本の左翼化を防止するため吉田内閣下で設置されたこと、左寄り政治家の選挙支援(現金供与)、進歩的文化人の豹変を暴露等最たる例は清水幾多郎、戦前はヒトラーを礼賛していた。圧巻は『創価学会を斬る』で名をはせた藤原弘達が25年間も内調から情報、金、接待を溢れるほど受けて仕事をしていたことが克明に記されている。創価学会の言論出版事件の引き金になった出版だが、この御仁を懐柔しようとして失敗したのも頷けた。内調資金で委託研究を担った学者の名前も暴露されている。会田雄次(京大・歴史学)安津素彦(國學院)石川忠雄(慶應)小口偉一(東大・宗教学)香山健一(学習院)等々、びっくり。中でも人類学者・泉靖一(東大)の紹介で藤原弘達と鈴木二郎らが繋がっていた。鈴木は晩年は創価大学教授だった。