日本人が知らない、フィンランド「世界一の教育」の秘密学力テストや偏差値、受験、塾もない

日本人が知らない、フィンランド「世界一の教育」の秘密学力テストや偏差値、受験、塾もない

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65548

入学式、始業式、終業式、運動会、修学旅行、謝恩会などの行事がない。ヘアスタイルや服装に関する校則がない。学力テストや偏差値、受験、塾がない。部活や先生の長時間労働がない。学校との連絡にはメールシステムが使われ、学校からのプリント類がない。 日本でよく聞く「地域・学校・家庭」という考えはなく、地域は学校に関わらない。したがって、青少年育成会や学校運営協議会、地域学校協働本部、コミュニティスクール等の煩雑な地域組織がない。このように学校がシンプルなことは、親にとってストレスが少ない。教育は、小学校から大学まで無償である。小中学校では、教科書・教材も無償。給食は高校まで無償で、経済的にも楽だ。さらに、国が17歳以上の市民に、学習ローン、給付型奨学金、家賃補助から成る学習支援を行う。返済の必要があるのは学習ローンだが、保証人は国なので、親や親族が保証人になる必要はなく、返済できず自己破産する心配もない。北欧は税金が高いと言われるが、フィンランドでは教育や福祉などに還元されていて、不正使用や流用が少ない。また実際の税率は、居住自治体や年収によっても異なるので、一概に高いとは必ずしも言えない

フィンランドには学力テストや統一テストがないのは、こうしたことと関連している。子どもは一人ひとり異なるし、関心を持つこと、目指すことも異なる。大事なのは、自分らしく成長することであり、それはテストで測ることはできないし、他の子どもと比較しても意味がないという考えである。フィンランドで全国的なテストは、高校卒業時のみである。それは、大学への入学資格となる試験であるが、全国一律テストではない。高校を卒業する年の春、受けるのが普通だが、テストは年に2度行われ、3回まで受けられる。また、受ける科目と科目数も自分で決める。最低4科目、普通は6科目程度、時には10科目以上受ける生徒もいる。全て記述式である。2016年から段階的にデジタル化され、2019年春からは全てがデジタル化された

日本では道徳が2018年から教科化された。「小学校学習指導要領」が定める教科の内容は、「正直に明るい心で生活」「高齢者に尊敬と感謝」「進んで義務を果たす」「先生を敬愛」「集団生活の充実に努める」「我が国の伝統と文化に親しみ、国を愛する」等である。フィンランドの学校が教える道徳は、全く異なる。ある集団内のルールは、絶対的なものではなく相対的であること、異なる集団には異なるルールがあること、道徳には、個人的・集合的・普遍的の3つのレベルがあり、子どもの権利と人権は普遍的原則に属すこと等が教えられている。日本では、学校のいじめ防止のために道徳教育が必要とされることが多い。2018年の道徳の教科化にも、いじめが理由として使われた。しかし、実際のいじめを実証的に研究した上で、専門的な知識を持って対処することは少ない。子どもが自殺してしまった後に、教育委員会が調査していじめがあったと認定したり、なかったと答弁したりしているのが現状である。フィンランドでは、いじめ予防に力が入れられている。さまざまな研究や調査、取り組みがあるが、最も体系的なのはキヴァ・コウル(ナイススクール)と呼ばれるプログラムである。いじめに防止、介入、モニタリングの3つの段階を設け、何をすべきか具体的に示す。シミュレーションゲームやビデオ、教材等を使って子どもが、人間関係のスキルやいじめのない安全な環境作りを学ぶプログラムである。