「強い側につく」という行動原理は、心理的にも物理的にもラクでいい。当座の間だけは。有形無形のストレスを回避できるし、決断に伴う責任も負わなくて済む。一見するとリスク回避の賢い処世術に見える。短期でしか


タイタニック号が沈没する時、三等船客も一等船客も一緒に死んだ。一等船客のさらに上位にする特権を有するごく少数の者だけがボートで生き延びた。

浸水に苦しむ三等船客を見て「自分は一等で良かった」と安心するのは「今この瞬間」しか考えない阿呆。数時間後の我が身を想像できるのが本物の知性。「強い側につく」という行動原理は、心理的にも物理的にもラクでいい。当座の間だけは。有形無形のストレスを回避できるし、決断に伴う責任も負わなくて済む。一見するとリスク回避の賢い処世術に見える。短期でしか物事を考えないならば。子どもの頃からそれで調教されれば、それ以外の道を知らない。「強い側につく病」の恐ろしい点は、いったんその道に進んだ人間は、その強い側が「強い側でい続けること」に自己利益を重ね、破滅に向かっていても従うしかなくなること。75年前の日本人が集団で示した姿。トップだけでなく下で従う者も、自分の誤りを認められなくなる。今の日本もその道に邁進する。