日韓請求権協定第2条では、「国及び国民」の請求権の主張はできないこととされていますが、それで徴用工個々人も権利主張できなくなったと言えるかどうかは、実は解釈上の難問があります。それは「国は、国自身の権


Shin HoriさんがNHK国際部をリツイートしました
日韓請求権協定第2条では、「国及び国民」の請求権の主張はできないこととされていますが、それで徴用工個々人も権利主張できなくなったと言えるかどうかは、実は解釈上の難問があります。それは「国は、国自身の権利だけでなく、国民個人の権利を条約で勝手に放棄できるのか」という重大な論点です→→「権利を放棄できるのは権利者自身だけだ」という前提に立つと、韓国政府は国家としての請求権は放棄できるが、韓国民個人の請求権が放棄されたわけではない(国家と個人は別主体だから)という解釈が成り立ち、ここから様々な困難な問題が生じてくるのです。これと似た中国人の賠償請求で→→2007年に日本の最高裁は「中国人の請求権は実体的に消滅したのではなく、裁判上訴求する権能が失われただけ」という意味の判断を示しています。つまり相手国民個人の請求権は消滅せず、ただ国家としては主張できないことを定めたから日本の裁判所では訴求できない、という論理です。そうなると→→今回のように韓国の裁判所が認めて、韓国国内にある日本企業に対して差押を行ったらどうなるかという問題が出てきますが、いずれにしても「日韓の協定で放棄したから、韓国国民にはいっさい請求権はない」と当然にいえるほど今の日本政府の解釈が自明というわけではないことに注意が必要です。→付け加えると、かつて日ソ共同宣言には同じ条項があったため、逆の立場になった日本の元シベリア抑留兵士が、「日本政府が請求権を勝手に放棄したからソ連政府に自分は賠償請求できなくなった」として国を訴えた事案で、国は「日ソ宣言で日本国が放棄したのは国の請求権と外交保護権であり→→日本国民が個人として相手国に対して有する損害賠償請求権を放棄したわけではない(=だから日本国が国民に損害賠償するいわれはない。勝手にソ連政府を訴えれば良い)」という論理で反論したという経緯が実はあります。→下記の政府答弁はソ連=加害者の図式ですが、これを日韓に置き換えたらどうなるかが問題です
「日ソ共同宣言の規定による請求権の放棄については、国家自身の請求権を除けばいわゆる外交保護権の放棄であって、日本国民が個人として有する請求権を放棄したものではない」