つまりわが国における庶民道徳は「枠からはみ出さないこと」「分際をわきまえること」に尽きているわけです。あからさまな偽史である「江戸しぐさ」がいまだに教育現場で重宝されているのだって、あれが「分際をわき

道徳の教科書に載っているコンテンツの多くが「黙って耐えている人間が一番偉い」という結論に導くお話であることから見ても明らかな通り、うちの国における「道徳」とは、正義を実現することでもなければ不正を正すことでも理想を追うことでもなくて、ただただ耐えることなわけだな。太古の昔から。つまりわが国における庶民道徳は「枠からはみ出さないこと」「分際をわきまえること」に尽きているわけです。あからさまな偽史である「江戸しぐさ」がいまだに教育現場で重宝されているのだって、あれが「分際をわきまえたサービス従事者としての江戸商人の身の引き方」を教える挿話集だからですよ。