ゲノム編集法は従来法と比較すると格段に(という言葉では形容しがたいほど。革命的、と言っていい)精度が高く簡便。極端に言うと誰でも一般家庭でもできます。なので、そのようなものが大量に作製された時の、環境


「ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針について(案)」に関する意見募集について

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=195180033&Mode=0
返信先: さん
Koichi Kawakamiさんがシマシマネコのママ 🌈(消費税、むしろ下げて)をリツイートしました

(1)わかりにくいですよね。説明しますが、わからない部分があったら質問して下さい。「遺伝子組換え体(遺伝子組換え生物)」は、本来その生物がもっていないDNA(外来DNA)を取り込ませてできた生物で、自然界には存在しないため、拡散を防ぐための規制があります。(2)「遺伝子組換え体」を作るためには「外来DNA」を細胞内にいれ、さらにゲノムに組みこまねばなりません。そのためにいろいろな方法があります。私も「遺伝子組換えゼブラフィッシュ(トランスジェニックゼブラフィッシュ)」を日常的に作っています。3)さて最近、CRISPR/Cas9法(クリスパー/キャスナイン法)という画期的な方法が発明されました。これは近いうちに必ずノーベル賞をとります。生物がもつゲノムDNAの狙った場所に自由自在に傷(二重鎖切断)をつけることができる方法です。この傷(二重鎖切断)は次のふたつのことに利用できます(4)第一には:その傷は細胞の働きによって「修復」されますが、元通りにはなりません。元とはちがった状態(変異)になります。変異がはいると、そこにあった遺伝子が破壊されたり、ある時にはその遺伝子に新しい働きが加わったりします。その、どのように「修復」されるか? は偶然によります。(5)第二には:その傷は外来DNAをその場所に組み込むために利用できます。傷があると外来DNAが効率よくはいるからです。このようにして作られた生物は、間違いなく「遺伝子組換え体」です。

問題は「第一」でできた生物を「遺伝子組換え体」とするかどうか? です。6)「それが遺伝子組換え体である」という主張の主なものは:CRISPR/Cas9法を実施する時に、細胞や生物に対して(一時的に)外からDNAやRNAをいれる操作をするから、です。そのようにして遺伝子を変えたものは「組換え体」として扱うべきである、という主張。(7)「遺伝子組換え体でない」という主張は:外来DNAが組み込まれていないので従来の「組換え体」の定義には当てはまらない。CRISPR/Cas9法の変異と同じものは、自然発生的にもできるし、従来の品種改良の方法(放射線照射によって変異をつくる方法)でもできるから組換え体とする必要はない。など。(8)大学や研究所での実験で作ったりする生物はどちらにしろ規制されます。この問題で一番大きく影響をうけるのは、植物の品種改良の分野です。クリスパーキャスナイン法(ゲノム編集)で、作られた(変異が導入された)品種を「組換え体」として扱うか、否か。もちろんそうでない方が都合がいい。(9)この問題に関する環境省原案を報じた最近の新聞記事(有料記事ですが)。この「遺伝子削除」が、(4)で述べた第一の部分にあたります。
生物ゲノム編集
遺伝子削除、規制せず 環境省原案









(10)こちらは、そのようなクリスパーキャスナイン法(ゲノム編集)で作られた作物も「組み換え体」として扱うべき、とした欧州司法裁判所の判断を報じた新聞記事(これも有料記事ですが)。環境省とはちがう見解です。

ゲノム編集は遺伝子組み換え 規制対象と判断

(11)それで今回のパブコメがあったわけですね(意見募集終了していますが)。(「ゲノム編集技術の利用により得られた生物のカルタヘナ法上の整理及び取扱方針について(案)」に関する意見募集について)ほぼ原案通りなのでしょう。「遺伝子組換え体」としていませんね。

(12)確かにゲノム編集で作られたものは、従来法で作られたものと区別はできない。その観点から「組換え体」でないというのは正しい。けれども、欧州司法裁の判断と分かれたように、まだ国際的なコンセンサスは形成されていない。これから議論が進んでいく過渡期と思います。(13)ゲノム編集法は従来法と比較すると格段に(という言葉では形容しがたいほど。革命的、と言っていい)精度が高く簡便。極端に言うと誰でも一般家庭でもできます。なので、そのようなものが大量に作製された時の、環境や生物進化に与える影響はちょっと予測できません。と、私は危惧しています。(14)ゲノム編集でつくられた「遺伝子削除」(実は遺伝子削除だけでなく遺伝子新規機能獲得の可能性もあります)は、従来の「組換え体」には該当しませんが、質だけでなく量の問題も勘案して、新しい「ゲノム編集生物」のようなカテゴリーを作っての何らかの規制はあるべきと思います。//ここまで