「野党共闘」の大研究 「安倍1強」打倒の方策倉重篤郎のサンデー時評

野党共闘」の大研究 「安倍1強」打倒の方策

重篤郎のサンデー時評

共産党は変わったな」

 確かに、きさくな人である。1947年岩手県水沢市に生まれ、県立盛岡一高卒業後、末川博・立命館総長の平和と民主主義の教えにあこがれ、京都にある同大へ入学した。学生運動から入党した筋金入りの活動家だが、そうは見えない。今回のインタビューも議員会館の秘書さんに対し、申し込みがてら名刺を置いていったところ、早速穀田氏本人から電話が返ってきた。話の節々でニコリと笑い、こちらの反論を誘うソフトな態度も悪い気がしない。  その意味では、穀田氏の仕事ぶりと人柄ならではの集客だったのだろう。ただ、それだけではあるまい。共産党という冠にも大きな意味があったはずである。  前出・大島理森議長が「今回これだけ人が集まったのは、穀田氏ということもあるが、共産党の変化というものも大きいような気がする」と語る。例えば、共産党が昨年1月の通常国会で、同党として69年ぶりに開会式に出席したのがそのいい例である、と大島氏は指摘する。天皇が開会式でお言葉を読むのは「憲法天皇の『国事行為』から逸脱する」としていた従来方針から「儀礼的、形式的な発言が慣例として定着した」と転換したケースだった。  大島氏は、その際に穀田氏を通じて志位和夫同党委員長がわざわざあいさつしてきたことを明らかにし、「その時に、政権をうかがっているんじゃないですか、と冷やかしたが、本音は共産党は変わったな、だった」 「議員で出てくる人たちもずいぶん変わった。昔は学生運動上がりとか、いかにもという人が多かったが、今は若い人、茶髪の人、さまざまだ。登壇して演説する人たちを議長席から眺めていると、その変化が一目瞭然でわかる。議員の中には、現場の生活者の要望、不満を吸い上げる地道な活動をしている人もいる。自民党の若手にもまねしろ、と言いたいくらいだ」 「共産党の変化がますます穀田さんみたいな人を必要としているのではないか。あのパーティー自体が共産党の変化の表れだ」 元社民党国対委員長として穀田パーティーに出席した民進党辻元清美幹事長代行も共産党の変化を実感している。特に、昨年の参院選岡田克也代表の下、役員室長として32の全1人区に野党統一候補を立てる、という実務作業を担った時のことが忘れられない。 「本当に譲るところをきっちり譲ってくるし、政策的にも民進党よりむしろ柔軟との印象だった。それは国会議員レベルだけではない。市議や自治体議員でもそうなっている。変えようという明確な意志を感じる」