監視社会というのは政府が網羅的に市民を監視する社会ではなく、市民が市民を監視し、密告し、機会があれば暴力をふるう社会のことです。共謀罪はそういう社会を創り出すための装置です。



『GQ』原稿送稿。共謀罪について。この法律は当面は「一罰百戒」的運用されて、反政府的人物を恣意的に選び出して、恣意的に処罰し、メディアを怯え上がらせることと市民の間に相互監視・相互不信感情を扶植することをめざすと思います。市民の相互監視・密告が一番監視コストが安いですから。
ネットやローカル局の番組まで含めて網羅的に監視する手仕事は膨大な人的リソースと予算を要します。でも、共謀罪を通して、「国内には外国に操作されている反日的なやつらがうじゃうじゃいる」という「前提」を公的に認知させてしまえば後の監視の仕事は市民が代行してくれます。監視社会というのは政府が網羅的に市民を監視する社会ではなく、市民が市民を監視し、密告し、機会があれば暴力をふるう社会のことです。共謀罪はそういう社会を創り出すための装置です。人間の卑しさと弱さと欲心を「レバレッジ」にして国を支配する術においては安倍政権は確かに卓越しています。