第59回 ドームがたり・スズキコージとアーサーが聴いた原爆ドームの声






2017年3月、アーサー・ビナード(文)とスズキコージ氏(画)のコラボレーションで、とてもユニークな絵本が誕生しました。広島の原爆ドームが語り出す「ドームがたり」(玉川大学出版部)。この本は、ふたりが、すかすかの骨組みの頭をして広島に立つ原爆ドームの声に出会う旅を重ね、ついに語り出したドームの声を絵本にしたものです。

核分裂の連鎖反応が広島の上空で引き起こされた瞬間を、ふたりはどんな声を聴き、どんな手法で描いたのでしょう?アーサーの最初の原稿には大切なキーワード「ピカ」が確かにあったといいます。しかしスズキコージ氏が書き上げたその瞬間の画には、それさえあってはならない大きな空白があり、すべてのものが、言葉さえも被爆し蝕まれていく現実を示していました。そしてすべてが無になり、同時にすべてがその奥に存在していたことをはらんだ大きな空白のぺージが生まれました。

その後、街を覆った「おっかない」「つぶつぶ」を、アーサーは、いやドームはどんなふうに言葉で表現しようとしたのでしょう? すかすかになったドームは、すべてが透き通って見える存在となって、今も世界を見つめています。

番組では、アーサー・ビナードが人間スズキコージ氏に迫った特別インタビューと、出版記念講演の音源も交え、「ドームがたり」の魅力を余すことなくお伝えします。絵本の中にもある広島原爆と枕崎台風の重要な相関関係についても解説します。聴き応えのある60分、どうぞお楽しみに!

<番組の中でご紹介したイベント>

スズキコージ「ズキンドーム展」(広島) 2017/6/17(土)〜8/20(日)
http://fude.or.jp/jp/exhibition_post/2017/04/1554/

スズキコージ「ヤッホーホイホー展」(秋田) 2017/4/22(土)〜7/8日(土)
http://www.akita-abs.co.jp/cohjizukin_akita/index.html


<番組の中でご紹介した本>

・「ドームがたり」(玉川大学出版部)
アーサー・ビナード(文)スズキコージ(画)