自由なラジオ Light Up! 028回 「 シベリア、ヒロシマ、そしてこれから……。 戦争を静かに描き続けた父・四國五郎のぶれない思い 」
シベリア、ヒロシマ、そしてこれから……。
戦争を静かに描き続けた父・四國五郎のぶれない思い
ゲストの四國光さんの父、画家の四國五郎さんは、貧しかった幼少期から独学で画を学びとり、天才的な才能を開花させるも戦争に召集され、終戦後はシベリア抑留。奇跡の帰国を遂げますが、共に画家の夢を抱いていた弟が広島で被爆死したことをきっかけに、戦争の惨さ、平和の尊さを語り継ぐためだけに絵を描こうと決意します。東京には行かず……、
「広島に留まって、死んだ人のために描こう。平和のメッセージを描く画家になろう」
……命をかけて靴底に忍ばせシベリアから持ち帰った紙片の画とともに。
四國五郎さんは実際、戦争を描いた作品を、自ら売ろうとはしなかったといいます。
優しく静かな視線で人間を描きとり、繊細な画と詩とで戦争の無意味を訴える四國五郎さんの作品は、亡くなった今も、広島の市民にとって大切なものとなっています。
そしてそれらは、亡き父の生前の意思に従って、一人でも多くの人々に戦争の悲劇を届けたいと奔走する四國光さんの手によって、これからもますます数多くの人々に運ばれていくのでしょう。大企業を退職したばかりの光さんの新たな挑戦が今、はじまりました。
今回は、同じくこの番組のパーソナリティをつとめるジャーナリストのいまにしのりゆきが、元京都大学原子炉実験所の小出裕章さんが移り住んだ長野県松本市におじゃまして、直接小出さんにインタビューさせていただいた模様をお届けします。テーマは、福島第一原発の労働者の白血病による労災認定についてです。いつも犠牲になるのは、現場で過酷な労働を強いられている末端の非正規労働者なのだと、小出先生の憤りに、深くうなずける、そんな回になりました。
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第028回
福島第一原発の労働者の白血病による労災認定について
2016年10月11日
いまにしのりゆき:
今日のライトアップジャーナルは、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんがお住まいになられております
長野県の松本市役所におじゃまをして直接お話をお伺いしたいと思います。
小出さん、よろしくお願いします。
小出さん:
はい、よろしくお願いします。
どうも松本までおいで下さってありがとうございました。
いまにし:
いえいえ、僕、松本について第一印象、凄く大阪と比べて涼しいなあと思うんですが。
先生、実際、松本に暮らし始めて1年ちょいぐらいですか。いかがでしょうか?
小出さん:
はい。この町は、大変快適な町です。
町がコンパクトに出来ていますし、生活する為には、本当に必要なものが全て手近で揃うという町で、
松本市民の9割が、「この町はいい町だ」と言うというぐらいなのですが、
それがすぐに納得できると思いますし、この町に来てよかったと思っています。
いまにし:
分かりました。
それでですね、8月19日に厚生労働省は、東京電力福島第一原発の事故の収束作業にあたっている
50歳代の男性の作業員の方が発症しました白血病についてですね。
要するに、原発の収束作業の業務が原因だということで、労災認定をしました。
福島第一原発の収束作業の被爆による労災認定は、今回が2例目ということですが、
小出さん、このニュースを聞かれまして、どのようなご感想をお持ちでしょうか?
小出さん:
少な過ぎると思います。
おそらく、もっともっとたくさんの人々が収束作業に従事しながら様々な病気になっているはずですし、
もちろん白血病ということでも、もっと症例は多いのではないかと思いますし、
その他様々な病気で亡くなられている方いらっしゃるはずだと思います。
ただし、それを労災として認定しない。
被爆による労災として認定しないという、そういう制度が出来てしまっている。
そのことを悪例と言うんでしょうか。
残念ながら、まだ2人しか認められないということだと思います。
いまにし:
この男性作業員の方はですね、事故のあった2011年4月から白血病という診断を受けられた2015年1月までの間、
3年9ヶ月間というかなり長期にわたって、原発の中で機械の修理作業等に従事をされていたということなんですが、
積算の被爆線量は54.4ミリシーベルトとなっています。
54.4ミリシーベルトと言うと、この被爆量どのように見ればよろしいでしょうか?
小出さん:
例えば、一般の人というのは、1年間に1ミリシーベルト以上被爆してはいけないというのが日本の法律ですから、
その一般の人とすれば、もう50年分以上という被爆をこの間に彼はしてしまったということになるわけです。
そして、一般の人でない放射線業務従事者と呼ばれている被爆労働に従事する労働者の場合は、1年間に20ミリシーベルトです。
3年9ヶ月この方働いていたわけですから、マックスで言えば70ミリシーベルトぐらいまでは
まあ被爆してもいいというような事になっているわけですが、
それでも54.4ですから、かなり限度のぎりぎりまで被爆をさせられながら働いてこられたんだと思います。
いまにし:
そうですね。
当然個人差があるわけで、仮に3年間でその70ミリとかで被爆をしても大丈夫な方もいらっしゃれば、
やはりそうでない方もいらっしゃるということで。
上限ぎりぎりまで大丈夫なんだという見方というか、部分というのは、必ずしも100パーセント安全保障するものではないということですね。
小出さん:
もちろんです。
そのまま1年間に20ミリシーベルトという限度があるわけですけれども、
その限度はどうやって決められているかと言うと、他の仕事でも労災で死ぬ方がいるじゃないか。
被爆作業でも被爆によって死ぬのは、むしろ労災として当たり前だと。
1年間に20ミリシーベルトまでは我慢させると言って決められているわけです。
それに、ほとんど限度近くに被爆しているわけで、そういう方がいわゆる労災として病気になるということは、
むしろ初めから予定されているという、そういう形の死に値しているわけです。
いまにし:
なるほど。福島第一原発の収束事故ですね、こういう形で労災認定されるされないに関わらず、
いろんなケースでお亡くなりになられたり、大怪我をされたりしている方々がいらっしゃるわけなんですが、
こう見ていると、なんか最後いつも辛い思いをされるのは、
一番最前線の現場で頑張って頂いてる作業員の方、労働者の方かなあと思えてなりません。
一方、東京電力なんかは、全く誰もろくすっぽ責任を取らないまま、
この暑い夏涼しい所で仕事をしているというような、こういう何と言うか、不合理な状況というのはいかがお感じでしょうか?
小出さん:
今、自民党という政党が政権を取っていて、安部さんという人がトップにいるわけです。
彼は経済最優先と言って、労働者の雇用がどんどん良くなってると言うわけですけれども。
実際には全然そうではないと、私は思うわけです。
正規雇用の労働者はむしろ減っていて、非正規の労働者はどんどん増えていると。
福島の場合も、それが正に縮図のように現れている。
実際の現場で被爆労働に従事するのは、非正規の労働者ばっかりになってしまっている。
仮に、東京電力の労働者が被爆労働に従事して、被爆限度に達したとしても首を切られることはないわけですね。
むしろ、被爆労働から外れて、別の労働に従事しながら給料をちゃんともらえるわけですけれども。
現在、福島原子力発電所で被爆をしながら作業をしている人達は、被爆限度に達してしまうと即首を切られてしまうという、
そういう労働者が今戦っているわけです。
そういう場合には、そういう労働者を雇用している雇用主の方も、労働者を失ってしまうことは困るので、
自分の被爆している量をごまかせと、労働者にむしろごまかし方まで手取り足取り教えながらごまかさせるわけですし、
私は悲しい事は、労働者の方がむしろ自分の被爆量を小さく見せなければ首を切られて仕事がなくなってしまうという、
そういう立場に追い込まれているわけで、誠に嫌な現場だと思います。
いまにし:
はい、分かりました。ありがとうございました。
今日のライトアップジャーナルは、長野県松本市から小出裕章さんと共にお送りしました
今日のライトアップジャーナルは、元京都大学原子炉実験所助教の小出裕章さんがお住まいになられております
長野県の松本市役所におじゃまをして直接お話をお伺いしたいと思います。
小出さん、よろしくお願いします。
小出さん:
はい、よろしくお願いします。
どうも松本までおいで下さってありがとうございました。
いまにし:
いえいえ、僕、松本について第一印象、凄く大阪と比べて涼しいなあと思うんですが。
先生、実際、松本に暮らし始めて1年ちょいぐらいですか。いかがでしょうか?
小出さん:
はい。この町は、大変快適な町です。
町がコンパクトに出来ていますし、生活する為には、本当に必要なものが全て手近で揃うという町で、
松本市民の9割が、「この町はいい町だ」と言うというぐらいなのですが、
それがすぐに納得できると思いますし、この町に来てよかったと思っています。
いまにし:
分かりました。
それでですね、8月19日に厚生労働省は、東京電力福島第一原発の事故の収束作業にあたっている
50歳代の男性の作業員の方が発症しました白血病についてですね。
要するに、原発の収束作業の業務が原因だということで、労災認定をしました。
福島第一原発の収束作業の被爆による労災認定は、今回が2例目ということですが、
小出さん、このニュースを聞かれまして、どのようなご感想をお持ちでしょうか?
小出さん:
少な過ぎると思います。
おそらく、もっともっとたくさんの人々が収束作業に従事しながら様々な病気になっているはずですし、
もちろん白血病ということでも、もっと症例は多いのではないかと思いますし、
その他様々な病気で亡くなられている方いらっしゃるはずだと思います。
ただし、それを労災として認定しない。
被爆による労災として認定しないという、そういう制度が出来てしまっている。
そのことを悪例と言うんでしょうか。
残念ながら、まだ2人しか認められないということだと思います。
いまにし:
この男性作業員の方はですね、事故のあった2011年4月から白血病という診断を受けられた2015年1月までの間、
3年9ヶ月間というかなり長期にわたって、原発の中で機械の修理作業等に従事をされていたということなんですが、
積算の被爆線量は54.4ミリシーベルトとなっています。
54.4ミリシーベルトと言うと、この被爆量どのように見ればよろしいでしょうか?
小出さん:
例えば、一般の人というのは、1年間に1ミリシーベルト以上被爆してはいけないというのが日本の法律ですから、
その一般の人とすれば、もう50年分以上という被爆をこの間に彼はしてしまったということになるわけです。
そして、一般の人でない放射線業務従事者と呼ばれている被爆労働に従事する労働者の場合は、1年間に20ミリシーベルトです。
3年9ヶ月この方働いていたわけですから、マックスで言えば70ミリシーベルトぐらいまでは
まあ被爆してもいいというような事になっているわけですが、
それでも54.4ですから、かなり限度のぎりぎりまで被爆をさせられながら働いてこられたんだと思います。
いまにし:
そうですね。
当然個人差があるわけで、仮に3年間でその70ミリとかで被爆をしても大丈夫な方もいらっしゃれば、
やはりそうでない方もいらっしゃるということで。
上限ぎりぎりまで大丈夫なんだという見方というか、部分というのは、必ずしも100パーセント安全保障するものではないということですね。
小出さん:
もちろんです。
そのまま1年間に20ミリシーベルトという限度があるわけですけれども、
その限度はどうやって決められているかと言うと、他の仕事でも労災で死ぬ方がいるじゃないか。
被爆作業でも被爆によって死ぬのは、むしろ労災として当たり前だと。
1年間に20ミリシーベルトまでは我慢させると言って決められているわけです。
それに、ほとんど限度近くに被爆しているわけで、そういう方がいわゆる労災として病気になるということは、
むしろ初めから予定されているという、そういう形の死に値しているわけです。
いまにし:
なるほど。福島第一原発の収束事故ですね、こういう形で労災認定されるされないに関わらず、
いろんなケースでお亡くなりになられたり、大怪我をされたりしている方々がいらっしゃるわけなんですが、
こう見ていると、なんか最後いつも辛い思いをされるのは、
一番最前線の現場で頑張って頂いてる作業員の方、労働者の方かなあと思えてなりません。
一方、東京電力なんかは、全く誰もろくすっぽ責任を取らないまま、
この暑い夏涼しい所で仕事をしているというような、こういう何と言うか、不合理な状況というのはいかがお感じでしょうか?
小出さん:
今、自民党という政党が政権を取っていて、安部さんという人がトップにいるわけです。
彼は経済最優先と言って、労働者の雇用がどんどん良くなってると言うわけですけれども。
実際には全然そうではないと、私は思うわけです。
正規雇用の労働者はむしろ減っていて、非正規の労働者はどんどん増えていると。
福島の場合も、それが正に縮図のように現れている。
実際の現場で被爆労働に従事するのは、非正規の労働者ばっかりになってしまっている。
仮に、東京電力の労働者が被爆労働に従事して、被爆限度に達したとしても首を切られることはないわけですね。
むしろ、被爆労働から外れて、別の労働に従事しながら給料をちゃんともらえるわけですけれども。
現在、福島原子力発電所で被爆をしながら作業をしている人達は、被爆限度に達してしまうと即首を切られてしまうという、
そういう労働者が今戦っているわけです。
そういう場合には、そういう労働者を雇用している雇用主の方も、労働者を失ってしまうことは困るので、
自分の被爆している量をごまかせと、労働者にむしろごまかし方まで手取り足取り教えながらごまかさせるわけですし、
私は悲しい事は、労働者の方がむしろ自分の被爆量を小さく見せなければ首を切られて仕事がなくなってしまうという、
そういう立場に追い込まれているわけで、誠に嫌な現場だと思います。
いまにし:
はい、分かりました。ありがとうございました。
今日のライトアップジャーナルは、長野県松本市から小出裕章さんと共にお送りしました