安倍首相が被災者より真っ先に「わが軍」自衛隊を激励! 小泉首相の中越地震視察でもなかった露骨行動に唖然

安倍首相が被災者より真っ先に「わが軍」自衛隊を激励! 小泉首相の中越地震視察でもなかった露骨行動に唖然

首相が、被災地で救出活動などの任務にあたる自衛隊員や警察、消防を「激励」すること自体を否定するつもりはない。
 だが、順番が違うだろう。最初の大きな揺れから9日も経過して、ようやく被災地に足を踏み入れたのならば、まず最初にするべきことは、長期の避難生活を強いられている被災者たちを訪れ、人びとがいったい何に困っているのかに耳を傾け、環境改善と国の全面的支援を約束することだ。
 実際、歴代首相の被災地訪問を確認しても、“避難所訪問を差し置いて自衛隊に激励した”なんて記録は出てこない。
 東日本大震災時の菅直人首相や阪神・淡路大震災時の村山富市首相と比較するまでもなく、同じ自民党政権下の現地訪問視察、たとえば2004年10月の新潟県中越地震での小泉純一郎首相のケースでも、避難所より先に自衛隊を激励するなんてことはなかった。




自衛隊員は国家公務員であり政府の指揮下にある、いわば政府側の“身内”だ。順序を考えると、避難している一般の被災者のもとを訪問した後、現地の行政状況を把握するため各自治体の首長や職員と意見交換するのが普通。自衛隊を訪ねるのは、やったとしても最後でいいはずだ。
 それを今回、安倍首相は、避難している多くの一般市民たちを差し置いて、身内である自衛隊員を励ましに行くのを優先したのだ。
 もちろん、このありえない視察スケジュールの背後には、安倍首相の強い希望があった。
 安保法制、そして改憲によって、自衛隊を「血を流すことのできる軍隊」に変えようとしている安倍首相にとって、震災は、自衛隊員の士気を高める一方、国民によいイメージを与える格好の機会だった。だから、被災者の状況を知り、その声に耳を傾けることよりも、まず、その政治的パフォーマンスを優先した。ただ、一番先に自衛隊に行くのは、さすがに露骨すぎるので、消防、警察を先に回るよう官邸がスケジュールを組んだのだろう。永田町ウォッチャーや官邸記者の間では、そういう分析がなされている。