】「日本は戦後、『無意味な戦争だった』と大いにわかっていたから9条を歓迎した。それを捨てるのはもったいない」――『映画 日本国憲法』ジャン・ユンカーマン監督が国会前でスピーチ
「日本は戦後、『無意味な戦争だった』と大いにわかっていたから9条を歓迎した。それを捨てるのはもったいない」――『映画 日本国憲法』ジャン・ユンカーマン監督が国会前でスピーチ
「米国の帰還兵は自殺し続けているんです。自分が、そして自分の仲間が犠牲になったのが、無意味な戦争だったからです」――。
国際政治ジャーナリストで『映画 日本国憲法』、『チョムスキー9.11』などを手がけた映画監督のジャン・ユンカーマン氏が2015年9月10日、SEALDs、総がかり行動実行委員会が共同主催した、安保法案に反対する国会前抗議でマイクをとった。
ユンカーマン氏は、戦場帰りの米兵がPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩んだ末に自殺するケースがあとを絶たないことを指摘し、米国の戦争に加担しようとする日本に警鐘を鳴らした。
「日本は戦後、戦争の終わりで、無意味な戦争だったということが大いにわかっていたから、9条が入った憲法を歓迎したということなんです。それを捨てて、またアメリカの侵略戦争に加担する、関わっていくということが、とてももったいないことでもあり、許せないことです」
ジャン・ユンカーマンさんスピーチ
「皆さん、こんばんは。雨の中でも頑張っていますね。この間は12万人が国会前に集まりました。
その翌日、安倍政権が『残念ですが、国民は誤解している。『安保法案は戦争法案』と間違った解釈がされている』と言っていました。
間違った解釈というのは、安倍政権がやっている憲法9条の解釈のほうですよ。それは皆、わかりきっているでしょう。わかりきっているから反対しているんですよ。何がわかっているかというと、この法案が通れば、日本はアメリカの侵略戦争に関わることになる、ということです。
アメリカはこの50年間、2回、そういう戦争をやりました。ベトナムでやりましたね。ベトナムでやって、また40年経たないうちに、またイラクとアフガンで同じようにやりました。250万人の若い人たちが行って、現地で一番犠牲になるのは、その現地の人たちなんです。ベトナムでは200万人くらいの人が死んだんです。何の目的もない戦争だった。何の利益も生まれなかった、完全に無意味な戦争ですよ。
犠牲になるのは、兵士たちなんですよ。エリートが犠牲になるのではない。政治家が犠牲になるのではない。若いアメリカの兵士が犠牲になったんですよ。ベトナムで6万人近い(人が)亡くなったんです。アフガンとイラクでは、もう7000人くらい。テロよりも、殉教する数が多いんです。
それだけじゃなくて、やっぱり『PTSD』なんですよね。精神的な病気を抱えているんです。その250万人の5人に1人が精神病を抱えてアメリカに帰るんです。その人たちは今、自殺し続けているんですよ。なぜか。なぜ自殺するのかといえば、自分が戦争で犠牲になって、そして自分の仲間が犠牲になったのが、無意味な戦争だったからです。無意味な戦争で犠牲になるということが、とても大変な精神的な打撃をうけるものだと思うんですよ。