安保法制の衆議院特別委員会強行採決に対する抗議声明

2015年7月15日
                              立憲デモクラシーの会
  集団的自衛権容認を軸とする一連の安全保障法案について、本日衆議院の特別委員会において強行採決が行われた。首相自身が法案への「国民の理解が進んでいない」ことを認め、各種調査でも国民の大多数が今国会での成立を不必要としている状況での採決は、議会制民主主義を否定する行為と言わざるをえない。
  戦後日本は、憲法9条の下で自衛隊が必要最小限度の自衛力を保持するという原則を守り、平和国家として存続してきた。そのことについては広範な国民的合意が存在する。
  海外派兵を行わないという原則は、憲法9条の枠の中でのみ自衛力の保持を認めることの論理的な帰結である。地域的な限定のない自衛隊派遣に道をひらく今回の安保法制についてほとんどの憲法学者違憲であると指摘しているのは、そのためである。
  政府は日本を取り巻く安全保障環境の変化を、安保法制が求められる根拠として挙げている。しかし、中国の防衛力増強にしても、北朝鮮の核開発にしても、日本にとっては個別的自衛権で対処しうる問題である。それよりも、隣国との対話の継続と信頼醸成によって、潜在的な脅威そのものを漸減していくことこそ政府の使命のはずである。近隣諸国の脅威を言い立て、軍事力行使の範囲を不明確な形で拡大することは、かえって近隣諸国の不信をあおり、日本の安全を脅かすことに繋がる。軍事的な拡張に軍事的に対抗しようとするのは、政治的緊張を高める稚拙な対応である。
  立憲デモクラシーの会は、参議院での審議を注視し、この法制の問題点について引き続き議論を提起し、国民とともに立憲主義および民主主義を擁護する行動をとっていく。